テスト

『なんであれ自分の口から言葉を吐き出せば、そいつのうちいくらかは後々まで残る。
 残るってのは、つまり心の中に残るってことだ。
 この際誰の心の中に残るかなんてのはどうでもいい。
 それは生き物みたいにうごめき、よろめき、いつしか噛みつく。
 誰に? それもどうでもいいこった。
 考えてみろ。どこまで気にする? おまえやおれの蟻ん子みたいな言葉の集まりの一匹一匹が、誰に噛みつくかなんていちいち気を配ってられるもんかね?
 そんなの、噛みつかれた方だって分かるもんか。ふん。
 まあ、とやかくいうまい。とにかくおまえは最初の一歩を踏み出したんだ。
 おまえの言葉がおまえ自身に噛み付くように祈っておくかね?』