カッシーニの空隙/配布:Feathery Instrument :U

 なんか久しぶりな作者依頼の感想文。
 その名前の間違えやすさはみさきさん作の朝靄の遠望(あさつゆのえんぼうでもあさもやのてんぼうでもないぞ)に次ぐゴースト、カッシーニの空隙。
 とにかく同作者のロッシュの限界と同じ、天文用語をその名の由来とするゴーストである。
 彼女はロッシュの限界と深い関係を持つゴーストなので、これからはこのふたつのゴーストを絡めて話をしていきたい。
 
 まず、スクリーンショットからしてきっちり可愛いのはいい事だと思う。
 使用シェルは配布停止済みだが、フリーシェルの『しろ』。
 トークと触り反応が主軸のソロゴースト、というとイマドキのゴーストっぽい気がなんとなくする。
 
 だがトークはかなり特徴的なゴーストだと思う。
 哲学というのは違うか。だいたいにおいて皮肉な雑想がトークのメインだが、文章がかなり断片的なんだ。
 さすがに文章にならないレベルじゃないが、一度に必要最低限の言葉しか述べられないのは確かだ。
 思慮が足りないから断片的にしか物事を言えない、というようには見えない。
 その言葉は完成された思考の一部を切り取っているように見えるが、一部解釈に悩むトークもある。
 
 この辺はロッシュと比べてみても面白い。
 あっちはデュオということもあり、具体的な事例を分かりやすく話している。
「一部の人間が引き起こすこういう事例にはこのような問題があり、対策と言えばこんな感じ」と
「ああいう心性について自分はこういう感想を持つ」くらいの差はあるだろう。
 
 そこも踏まえてみると、トークの傾向は作者の確信的なものだと見ていいと思う。
 シェルが小さい→バルーンも小さく→トークも短く、という考えなんだろうか?
 そこは断定できないが、断片的なトークには、中に含まれた皮肉を呑みやすくしてる効果もあると思う。
 断片的な文章って、だいたいにおいて自分の都合の良いようにしか解釈できないし。ツッコミビリティは低めだ。
 それでも刺さる言葉はあるが。トーク数がまた尋常じゃないんだよな。
 皮肉と言うにはひどく真摯なトークもまた多い。
 彼女のものの言い方は可愛くないが、その言葉の背後にある心性を察せられれば、トークだけでも彼女を可愛いと思えるんじゃないんだろうか。
 
 で、ある意味メイン機能の話。
 カシスの触り反応は、多方面から言及されているがなかなかにヤバい。
 なでられている最中は口数が少なくなるのがリアルというかなんというか。
 頭をなでられてガッツポーズをとるくらい大喜びする様は間違いなくデレ。コミュでツンデレと打ち込むとツン。
 そしてセクハラ反応もデレに傾いてるから困る。怒ったり呆れたりするより照れる方が多めだ。
 大体のゴーストに言える事だが、スカートをめくられ口の中に指を突っ込まれ胸を撫でられ羽を弄り回された後でも真顔で話をできる彼女は結構凄いと思う。
「私もまだまだね。
 余計なことに関わるもの」
 全くだ。
 ところで触られただけで真っ赤になるその羽は、やっぱり性感帯か。
 このゴースト名はカシスたんを食う(性的な意味で)カッシーニの空隙、と覚えるといい。テストに出ないから。
 
 またトークの話だが、彼女が属する世界や関係する人物に関わるものもぽつぽつとある(最近増えてきたか?)。
 この辺もまた断片的だが、配布サイト上の情報も参照すれば総体としての理解は難しくないだろう。
 史上最大の環境破壊とはえらく斬新な見方だな、とだけ書いておく。
 あとエプシロンの忍耐強さというか穏和さは異常、と書いておく。これはロッシュとカシスを同時に立たせた時の話だ。
 
 とりあえずそんな感じか。あ、気分を変えたい時にはお座り機能を使ってみるといい。スカートはめくれなくなるが。
 俺のSSPで現在起動時間二位のゴーストの感想にしては、案外短くまとまった。
 立たせておいて邪魔になる要素のない、完成されたゴーストのうちひとりだ。
 
 あとは付記。
 ロッシュの限界とは、ある天体がその潮汐力で近くにある天体を破壊せずに済む距離を示す用語だ。
 限界を超えて近づきあった天体はそのどちらか、あるいは両方がぶっ潰れる。
 あの二重に作られた土星の輪の形にも、ロッシュの限界が大いに関係しているそうだ。
 
 そして、カッシーニの空隙とはその土星の輪と輪の間の事だ。
 星とその飾り手は、ロッシュの限界にその距離を定められ。
 そして飾り手もまたその内部に、目をこらさなければ分からない空隙を持つ。
 
 たぶんそういうことなんだろう。
 ロッシュの限界とカッシーニの空隙の関係には、いまだ発展の余地がある。