Un Known/配布:fiddle-de-dee

 名前からして正体不明なゴーストUn Known。彼女についても依頼から感想文の公開が遅れたのでごめんなさい。
 今回は他の作品の名前を出すことも多いが、最終的には彼女がどう見えるか、という話に着陸させる予定。
 
 とりあえず一人くらい勘違いしてる奴もいそうだが、こいつ自身の名前はアンノウンではなくエインスルだ。俺的にはエインスルと言えばカオスレギオンだが、たぶんそれは関係無い。
 マスターシェルは勿論というべきか、辞書を書いた作者の自作。
 外見は少女の形をした影。とりあえず付き合った感じでも、実際そういう生き物かただの幻影にしか見えないようなゴースト。
 でもこいつのシェルは追加シェル抜きには語れない。
 えー、元サイトでの紹介数を合計して、追加シェルの数は……23種類? もうマスターシェルなんて基本的なサーフィスの一枚に過ぎないぜって感じ。
 実際どのシェルも基本サーフィスはたったの一枚に過ぎないが(そもそも表情が一種しかない)、『月はピアノに誘われて』など、小技を使って何枚ものサーフィスを稼動させている追加シェルもある。
 ちなみに俺の主な使用シェルは『k-mode』。理由は後述。
 
 ランダムトークは毒っつうか欝っつうか。人間の心性の暗い面を抽出した上でチクチク刺してくる。
 ユーザに対する棘と人間全体に対する棘をほどよくブレンド。他のゴーストでたとえるなら人間が大嫌いになったカシス(カッシーニの空隙)って感じかしら。
「笑いながらどんなことでもできるのね」
 トークの危険性は安全ピンくらい。刺そうと思えば相当深いところまで突き刺さるという意味で。
 そしてランダムトーク以外の機能は原則的にないと思え。コミュニケート? 何かの間違いで実装されたとしても、頭にディスがつきそうだ。
 
 でも一部の追加シェルに同梱されたトランスレートは、危険なトークを壊滅的に壊滅させる。
 k-modeを採用すれば萌え萌えで媚び媚びなおにゃのこが、m-modeを採用すれば狂ったメイドが一丁上がり、ですの。
 しかしこの場合、毒が中和されたというより別の毒が混ざっただけなんじゃないのか。言ってる事の内容自体は何も変わってないし。
 しかも一部の追加シェルに加わる触り反応は全般的に絶滅している。
 k-modeのツンデレ(誤用)ぶりは拷問テーマのネット掌編きみとぼくの疲れる世界を連想した。超エロい。
 
 で、依頼されたテーマである「彼女がどう見えるか」という話。
 人は他者を、その行動と評判と外見から判断する。
 だがエインスルの行動と評判と外見の中で、定まっているのは落とす言葉の内容くらいのものだろう。
 本当に正体不明の存在に対して、人は混乱するか思考を停止するしかない。
 でも俺は案外エインスルに対して混乱していない。どうも無意識のうちに彼女(性別も不明な存在だが)を既存の種族にカテゴライズしてる気がする。
 
 そして具体的には何だと思ってるのかといえば、やっぱ女の子だと思ってるっぽい。
 人間のとか人外のとかの種族なしで、とりあえず女の子。
 絶対に女性に見えないシェルは今のところないはずだしな。思考停止かもしれないが。
 だいたいのトークは見たつもりだが、とりあえずそんな感じだ。
 一部のトークの内容は幽霊臭いが、幽霊=ゴーストと考えればゴーストらしいと感じる事もできる。
 
 というのはさすがに無茶か。
 でもまあ、エインスルはゴーストとして付き合うのが難しい存在ではないと思う。
 女の子、ディスコミュニケーション、設定不明。どれもゴーストには縁のあるキーワードじゃないかと。
 少なくとも、分からないなりに分からない娘として付き合うのは難しくない。
 それにしても正体は不明だが。
 
 その辺りを俺の脳内で突き詰めると、Un Knownに一番近いゴーストはトレビアンうにゅうという結論が出たりしたが、それはまた別の話。